はじめに
毎日のように使っているBacklog、もう仕事にも日々のタスクの管理にもなくてはならない存在としてすっかり定着しています。お世辞抜きでBacklogがない生活は考えられないという。そして小さなプロジェクトではありますが、最近どちらかというとプロジェクトマネジメント寄りのお仕事を任されるようになったということもあって、そろそろ自分の中でのプロジェクトマネジメントの仕方とか、うまい仕事の進め方とかをアップデートしていきたいなと思っていました。
その最中に発表されたのが、4年ぶりのオフラインでの開催となる「Backlog World 2023 Re:Boot」の案内。コロナ禍を経て、ようやくオフライン開催が戻ってきました。しかも会場は福岡。ある意味では原点回帰した感じです。開催が発表されるや否や、羽田福岡間の航空券を予約し、12/8(金)には前のりで福岡行きのNH259に搭乗したのでした。
当日の発表内容で刺さったこととか感想など
ご登壇された皆さんの発表内容、本当にどれも勉強になったり、自分の中での仕事の進め方に対する軸を再認識させてくれたり、新しい発見を与えてくれた内容ばかりでした。まずは登壇者の皆さんに感謝したいと思います。
おそらく発表内容の資料はconnpassの中にどんどん上がっていくと思いますので、今回はその中でも個人的にこれは刺さったなという内容を挙げながら、感想などを書いていこうかなと思います。
kinotone SIerが使うBacklog管理術 (株式会社ジョイゾー 大竹さん)
- 全てをkintoneで管理するメリットがあるのか?「餅は餅屋」ではないのか
- どれが良い悪いではなく、きちんとツールの特性を理解して使い分ける
- 型のあるものに対してはシステムに合わせた業務にした方がいいのではないか?
ある意味Backlogの競合的な機能もあるkintoneを専門に開発している方から、そのようなポイントが出てくるとは想像していなかったので驚きでしたし、言われてみれば確かにそうだよなぁと納得でした。
よくシステムの世界では「全体最適」という言葉が使われたりしますけれども、確かにある一定の業務パターンやユースケースが存在しているものに対して、無理に全体最適をしてしまおうとすると、結果として業務を効率化するために本来システム化を図るべき軸がずれてしまうような気がするんですよね。
そういう意味で、その特性を正しくフラットに理解して、そちらの方がデメリットよりもメリットを見出せるのであれば、そちらに寄せていったほうが、結果として業務の効率化が図れるんだなということを認識することができました。
マネジメント層は特にコミュニティに関わった方がいいんじゃないかという話 (メディア総研株式会社 勝毛さん)
- 仕事の進め方は誰かに習わなかったらアップデートできないんじゃないか?
- コミュニティに関わらなかったら俺俺ルールで進めていたはず
おっしゃる通りです! と膝を打ちたくなりました。仕事の進め方って、最終的には自分の血肉として吸収していくものではあるんですけれども、そもそものところってその人の中の暗黙知と経験則の集合体でもあるので、経験則が優先してくるとどうしても俺俺ルール化してしまうんですよね。実際に自分もそういう状態になっている傾向があるんじゃないかと認識しています。
けれども、なんらかのコミュニティに関わってひとつのプロジェクトを共同で進めていく中で、他の方の物事の進め方に対する考え方や実際の進め方を知ることで、自分の仕事の進め方をアップデートするチャンスは大いにありますよね。
もちろん実務の中でも色々な人の意見を聞くことは多いですが、仕事の進め方自体に対して、どう進めていくのか、といった部分に関しては聞く機会がなかったので、そのような観点でなんらかのコミュニティに関わっていきたいなということを感じました。
不確実な世界で成果を上げる 〜変化を抱擁するアジャイル思考 (株式会社ソニックガーデン 倉貫さん)
- 自分の頭で考えて働くのがナレッジワーカーの真骨頂
- 不確実なプロジェクトに対して進捗管理をするのは幸せではない
- ロードマップを確認する(経営陣と開発陣で同じものを見る)
まずは我々エンジニアリングに関わる仕事のことをナレッジワーカーとして意識したことってこれまであまりなかったので、そこに新たな気づきを得ました。振り返ってみると、確かにプロジェクトを進めていく段階においては、開発であっても常に自分の頭の中で物事を考えながら仕事を進めています。もしもそれがなかったら単なる作業になってしまうわけで。なので、根本的に僕らは常に多くの場面で想像力を働かせつつ、過去の実績なども参考にしながら仕事を進めているんですよね。そういった意味で、ITエンジニアとしての存在価値を再認識させてもらうことができました。
そして進捗管理に関して。確かに現実として必ずしも幸せなことではなくて、色々と立て込んでくると苦しいことが多いのが現状なんですよね。特にいきなりそれなりの規模のシステムを構築しようとなると。自分の場合はAWSを中心としたパブリッククラウドの世界を使ってインフラを設計構築しているので、構成設計からTerraformを用いた実装の部分までを一貫して行っているんですが、システムのスケールが大きくなればなるほど、考えなければいけないこととか、急な構成変更によって手戻りが発生したりだとか、そういう場面は往々にしてあります。その度に進捗どう? なんて聞かれるとうーむ、となってしまったりとかって場面が蘇りました。そのためにも、開発スケールをできるだけ小さい単位で分割していって、少しずつ育てていく方が、本来のあり方としてはお客さんも開発する側の立場の人も実は幸せなんじゃないのかな? ということを思いました。これは本当に刺さりました。
そして経営者と開発者で同じロードマップを見る。これは実は本当に大切なことなのではないかなと思います。経営者が普段考えていることを開発者に共有されなければ、経営側の人間は一体会社の事業戦略や、それに対して開発者に求めていることがわからなくて疑心暗鬼になってしまったり、逆の立場になって考えた場合、経営陣にとっては開発者に対して、常に目の前の開発だけに追われていないで経営戦略とか会社が成長していくためのグランドマップのこともちょっとは気にしてくれよという考えに陥ってしまう可能性もあるわけで、そこで風通しが悪くなるというか、ある種の壁ができてしまうんですよね。それを回避して、同じ方向を向けるようにするためにも、ロードマップの存在というのは絶対に必要だなと感じました。
心が折れそうになった時に大切にしていること (株式会社ドリーム・アーツ 清水さん)
- コロナ禍で人を信じるということが難しくなくなってきた
- リーダーが孤独を感じやすくなってきた
- 信念を失わないこと
本当にそうだよねと、うんうんと頷きたくなってしまうような内容でした。コロナ禍を通じて、現在は出社回帰の方向が強くなってきてはいるものの、リモートワーク中心で仕事をしている人もまだまだこの業界では多い中で、物理的に他の人の作業が可視化しにくくなってしまうがためについつい他の人のタスクの進捗はどうなんだろうとか、なんか実装の方向性間違っていない? とか、テキストベースでのやり取りはできていても、同期的ではないがために疑心暗鬼になってしまう場面がちょこちょこあるということは現実問題としてあるなと思いました、というかそれを感じることはままあります。
とはいえ、職種上常に物理的に全員が同じ場所で顔を合わせて話をするという状況が常に発生するわけでもないので、何かの制度的にどうこうすればいいという問題ではなくて、最終的にはその人の良識をひたすら信じていくしかないし、逆に信じてもらうことができるように、日頃のアウトプットを、たとえ中間成果物でもいいので積極的に見せていくことで、互いの信頼関係を維持してくことがより必要になってきたんだなということを再認識させられました。
そしてリーダーという立ち位置であったとしても、常に配下で動いている人のことを信じながらも、物事がきちんと進んでいることを確認するためにも、手段を問わずにコミュニケーションを自らとっていく姿勢が必要なのかなと思いました。よく出社がいいのかリモートがいいのかという議論にいきつきがちですが、それは手段でしかなくて、いかにしてより良いコミュニケーションをとっていくことができるかの方が大事なのかなと思っています。
あとは信念を失わないこと。システム開発の現場においては、例えばローンチの瞬間だったりするわけですけれども、そこへの道筋へ辿り着くことができるように、そしてみんなが同じ方向を向くことができるようにコミュニケーションを積極的にとって、真面目に、楽しく、仕事を進めていくことがより必要とされてきているのではないかなと思いました。
終わりに
今回書かせてもらった内容は発表者の一部の方だけになってしまったのですが、他の方の発表も素晴らしかったですし、技術的な観点でいくと、やはりOpenAIの影響ってもの凄いんだなぁとか感じるところはありました。そしてある意味正しいOpenAIの使い方をしているよな、とも感じました。そこはもう、使い方の勘所をいかにして良くしていくかなのかなと思っています。
皆さんの発表を聞かせていただくことによって、日頃の仕事のバタバタの中で落ちそうになっていたモチベーションがだいぶ戻ってきたような気がします。もうそれだけでも個人的にはこのカンファレンスに参加するだけの元はとれたと思っています。そして、継続して外部の勉強会に積極的に参加していきたいなという気持ちを新たにすることができました。面白そうな勉強会があったら、物理的な距離を乗り越えて参加していきたいなと思っています。
最後に、JBUG運営の皆さんは、4年ぶりのオフライン開催に向けて事前の準備や調整など、本当に大変だったのではないかなと思います。特に運営メンバーが全国に散らばっていることで、コミュニケーションを密にとるという部分を相当工夫されたのではないかなと思います。
運営の皆さんのおかげで、気持ちの良い8時間を過ごすことができたことに、心から感謝したいと思います。