PSY・Sとわたし – “Wondering Up and Down”


きっかけ

PSY・Sの元ボーカルで、現在はジャズヴォーカリストとして活躍しているCHAKAさんのこんなツイートを読んだんですよね。

色々考えるきっかけになったCHAKAさんのツイート

もちろんファン的には一体どんな批評を読んだんだろう、というのが気になったりもしたのですが、その批評に左右されることなく、これからも高みを目指していこうとしている決意表明をしているCHAKAさんの力強い言葉に、すごいなと思ったのでした。PSY・Sは全盛期が自分の多感な高校生という時代と同期しているので、それだけに思い入れがあって、色々と考えてしまったわけです。

あれやこれや

PSY・Sというアーティスト名を聴いて、あ、あの人かとわかる人は、おそらく同世代ですね。1985年にデビューし、1996年に解散した、ヴォーカルのCHAKA(安則まみ)さんと楽曲全般の演奏を担当する松浦雅也さんからなるユニットです。

その当時最先端の技術を駆使をして、先進的かつポップな世界観を全面に出した楽曲をいくつも発表してくれて、そのオリジナリティにはワクワクしたものです。昔話ですけれどもね。もう解散して25年以上が経過しているのか。今でもかなりのヘビーローテーションで聴く続けているんですけれども。

PSY・Sを知ったきっかけは高校の先輩がカセットデッキで部活の時間に流していたのをきいたところからだと思います。オリジナリティあふれる楽曲と、なんといってもCHAKAさんのまっすぐなハイトーンボイスが突き刺さったんですよね。あの歌声はそんじょそこらじゃ忘れられません。

その頃の音楽シーン、正直ヒットチャートは全く追いかけていなかったですね。むしろ、多数創刊されていたFM雑誌からアーティスト情報を知ったり、いま(当時)渋谷系という音楽が一部で流行っていて、それを試しに聴いてみよう、という感じで、FM放送を媒介としてさまざまなジャンルの音楽に触れられる機会がいま以上に幅広かった気がします。

で、その中でなんでPSY・Sなのかって、一つ一つの楽曲が粒が際立っているというか、ポップなんだけれどもただのポップでは済まされない、良い意味での「変てこりんさ」があったところなんですよね。それでいて聴き飽きることが全くないんです。耳障りの良さだけではなくて、少し角が立っているところが。そこにCHAKAさんの力強い歌声が乗ってきて、不思議な化学反応が起きていたなと。CHAKAさんの歌声もまっすぐさが半端なくて、思わず聴き入ってしまう魅力があったのです。

解散の理由は正直覚えていないなぁ。ただかなりショックではありました。CHAKAさんの立場と松浦さんの立場、それぞれに何かしらの思うところがあったのではないかと思うんですが、あの二人だからこそできた音楽がそこにあって、新作の中でどんな世界観を披露してくれるかが本当に楽しみだったので。

一番好きな曲

これはこのBlogを吹っ飛ばす前の記事でも書いたのですが、“Wondering Up and Down 〜水のマージナル〜”が本当に好きで、今でもずっと繰り返し聴いています。自動的に自分の子供時代を思い起こさせてくれるような抒情的なメロディライン。ベースラインが同じなのにメロディとサビとで全く違う表情を見せてくれるところ。目を瞑ればその景色がすぐに想像できるような優しい歌詞。そしてその世界をクリアに歌ってくれるCHAKAさんの歌声。

歌詞は水にまつわる様々な情景をシーンごとに切り替えていく構成になっているんですけれども、それがメロディと組み合わさった時の化学反応が半端ないというか。具体的にこうとかまでは書けないのがなかなか悔しいんですけれども、こういう初夏の風景があると本当に素敵だよなということを思い起こさせてくれるような感じです。

またあれやこれや

サブスク時代が前世の今の時期、歌い出しのインパクトや貴キャスさがとにかく優先されるようになってきてしまったような気がしますが、PSY・Sの音楽の世界はその真逆をいくように、じっくり聞けば聴くほどその世界観がふわっと広がっていく印象を受けます。その広がりが本当に素晴らしいんですよね。それはCHAKAさんの歌声がどうだからとか、松浦さんの作曲が素晴らしいからとかではなくて、それらが融合しているからこその魅力なんだと思います。

多分、”Wondering Up and Down 〜水のマージナル〜”は、ずっとずっと聴き続けているんだろうなと思います。音楽が与えてくれる多幸感が得られる限りは。あの歌声になんと心を癒されたことか。

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