突然ですが、ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが作曲した交響曲第9番 ニ短調 作品125 「合唱付」といえば、例年日本では年末に集中して演奏され、特に第4楽章の”Freude!”で始まる合唱は、誰でも一度は耳にしたことがあるのではないかというくらい有名なフレーズなのではないかと思います。
2020年は社会的にも個人的にも色々な意味で激動の1年だったと思います。私的な部分について振り返るとすれば、新型コロナウィルス感染拡大に伴う在宅勤務体制への移行であったり、慣れないリモートワーク生活を続けていく中で2度も緊急入院することになり、様々な関係者の方に迷惑をかけてしまったり、退院からの復帰後も激務に追われたりと、大変だったなぁ。。。という言葉がまずは口に出てくる年でした。
とはいえ、そんな状況の中でもたくさんの気づきや実りを得られることもできました。仕事では直接顔を合わせてのやりとりができない中でも、可能な限りの手段を駆使しながらコミュニケーションをとることで、多くの案件をローンチさせることができました。
仕事以外の面では、初めてのチャレンジだった4/18「JBUG東京 #15 オンライン -Backlog World 2020 re:Union LTおかわり-」でのLT登壇で、私なりの立場から見たBacklogの魅力についてお話をさせていただき、このご縁で少しずつJBUGの皆さんと関わりを持たせてもらうことになり、広島のナカミチさんからお声がけをいただいたのをきっかけに、10/11「JBUG広島 #6 オンライン -制御不能な時代に立ち向かえ-」ではリモートワーク下でどのようにBacklogを使いこなしていくかという自分なりの学びを共有することができました。
一旦「第九」の話に戻りましょう。
あの合唱の歌詞、クラシック音楽にある程度親しみのある方であれば、そのドイツ語の歌詞自体はなんとなく歌えてしまうのではないかと思うのですが、和訳までは知らないという方は少なくないのではないでしょうか。以下、歌詞のの中からいくつかを引用してみようと思います。
Wem der grosse Wulf gelungen, eines Freundes Freund zu sein, Wer ein holdes Weib errungen, mische seinen Jubel ein!
Ja, wer auch nur eine Seele sein nennt auf dem Erdenrund!
– Ludwig van Beethoven: Symphonie Nr.9 d-moll op.125
これを和訳すると、概ね以下の通りになるかと思います。
ひとりの友人を真の友人にするという大きな難事に成功した人、また優しき女性を得ることのできた人、そのような人々はかれらの歓声をあげよ。
そうだ、地球上において、一つの魂でも自分のものと呼びうる人もまた歓声をあげよ。
もう一箇所。
Froh, wie sein Sonnen fliegen durch des Himmels prächt´gen Plan, laufet, Brüder, eure Bahn, freudig, wie ein Held zum Siegen.
– Ludwig van Beethoven: Symphonie Nr.9 d-moll op.125
ここの和訳は概ね以下の通り。
多くの太陽が天の素晴らしい計画によって喜ばしく飛びかけるように兄弟たちよ、なんじの道を、勝利に進む英雄のように喜んで走れ。
色々な意味として捉えられるかもしれませんが、確かに共通して言えることは、自身の信念に基づいて人と関わりあうことのできることに対して心から感謝し、みんなと自分の道を進んでいこう、ということだと、私自身は感じています。
人との関わり合い、それは仕事仲間でもコミュニティに対してでも同様ですが、こういう状況であるからこそ、どういう環境であっても他者と関わることができること、それが実際に実現できたことに対して、心から感謝しているとともに、改めて日々成長を止めない上での基礎となる大事なことなんだなということを噛み締めています。
もしかすると、これがコロナ禍という状況でなければなんてことなかったことなのかもしれません、むしろ、物理的な距離が存在することによって実際に関わることができた人と関わることがなかったのかもしれません。それが、オンラインという世界の中で距離感覚が変化することによって、新しい世界を開かせてくれたというのも、また事実なのではないかと思います。
そんな、自分にとっての新しい世界を切り開くきっかけを持つことができたことに、心から感謝しているとともに、これをきっかけとして少しでも多くの、何かしらの志を持つ人に対して、シェアできることをシェアしていくことができればと思います。
そういう意味で、「敢えて歓喜に寄す」という表現を用いさせていただきました。
思い返せば、初めてこの曲を演奏したのは、大学オーケストラ最後の演奏会でした。写真の通り、あれから22年が経過した現在でも、その時に使ったオーケストラスコアは大切に本棚にしまっています。そして時々見返しては、人との関わりの大切さについて、思いを巡らせるのでした。
2020年、大変な年でしたが、同時に本当に実りの多い年でした。来るべき2021年も、実り多き1年でありますように。
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