東北UNITED 山形交響楽団 x 仙台フィルハーモニー管弦楽団 合同演奏会2020 山形公演

これは、2020/7/12(日)に山形県山形市の、やまぎん県民ホールで開催された、「東北UNITED 山形交響楽団 × 仙台フィルハーモニー管弦楽団 合同演奏会2020 山形公演」と、それに付随する行動の記録です。

はじめに:

このコロナ禍の影響で、世界中のオーケストラが公演中止を余儀なくされ、その先の演奏会の形を模索しているところです。それは日本のオーケストラでも全く同じで、オンライン配信にチャレンジしたり、全国的な感染者数に落ち着きが見られてきた段階で、少しずつ会場内の環境を改善しながら実際の演奏会の開催に向けた努力をしています。その努力に心から感謝しています。

実はこの演奏会、当初はブルックナー 交響曲第8番をメインとして組んでいるものでした。しかしこの影響、舞台上で「密」状態にならないためにも、曲目の変更は回避できないものとなり、直前にプログラムが変更になりました。

一方で、全国的な県を跨いでの移動が2020/6/19に自粛解除された段階で、対策をした上での移動は問題ないだろうと考えていましたが、月を越えた頃から東京都での新規感染者数が急増してしまい、感染がそれほど拡大していない他の地域の方々の感情や、万が一のことを考えた場合に、果たして行くべきなのか、取りやめるべきなのか、正直直前までとても悩みました。

しかしながら、以下の点をポイントに据えた上で熟慮に熟慮を重ねて検討した上で、今回は聴きに行くことにしました。

  • 4月から始まった在宅勤務を継続しており、感染のリスクが低い自宅にほとんどいたこと。
  • 利用者が匿名になってしまう鉄道での移動を避け、安全性の高い飛行機での移動にすること。ただし経路の関係上一部高速バスを利用することになるが、路線の乗車率は過去の移動で把握していたため、万が一感染していたとしても経路を特定しやすいこと。
  • 演奏会を聴くという目的以外では外出を極力避け、ホテルが利用可能なチェックイン〜チェックアウトの時間帯は極力ホテル内に滞在すること。
  • Swarmを使用して立ち寄った先の場所を極力記録しておくこと。
  • この記事自体を公開して適宜追記しながら記録とすること。

移動経路:

7/11(土)

  • NH397: HND 16:05 → SYO 17:05 (JA222A / 2K)
  • この日は鶴岡市内のホテルに滞在

7/12(日)

7/13(月)

  • 庄内交通バス: 山交ビルバスターミナル10:25 → 庄内観光物産館12:07
  • NH400: SYO 17:55 → HND 19:00 (JA220A / 2K)
  • 21:00に無事に帰宅

演奏会について:

まず最初に、渾身の素晴らしい演奏を聴かせてくださった仙台フィルハーモニー管弦楽団と、山形交響楽団のプレイヤーの皆様に、本当に本当に感謝しています。正直、終始心震えっぱなしでした。

この演奏会のテーマは「祈り」「未来」「希望」という3つ。

「祈り」の冒頭では、2つのオケのメンバーから金管セクションが出演して、開幕ファンファーレとして2つの都市を拠点とするサッカーチーム「モンテディオ山形」と「ベガルタ仙台」の応援曲(といっていいのかな? 前者は公式アンセム、後者はファンファーレでした)が吹奏されました。どちらも初めて聴く曲だったのですが、もしかしてこれは「祈り」ではなくてすでに「希望」なのではないかと思えるような勇ましいファンファーレでした。両チームの今季の活躍を応援しています。

「祈り」の次のプログラムは、同じく2つのオケの金管セクションによるブルックナーの以下の2曲が演奏されました。

  • アンティフォナ「マリアよ、あなたはまことに美しく」
  • モテット「キリストは従順であられた」

ブルックナーは経歴の中で教会のオルガン奏者を務めたこともあったんですよね。で、オルガンの音色の中には金管楽器を彷彿とさせるようなものもあるんですが、今回の演奏は全く逆で、金管セクションの奏でる響きが、あたかもオルガンのように完全に調和してホール全体を包んでくれました。まさに祈りそのもの。ドイツ・バンベルク大聖堂の中から見上げる高い天井と、内陣に差し込む光を思い出させてくれるような演奏で深く心に染み込みました。とても優しくて清らかな吹奏。

次に「未来」と題して演奏されたのは、エルガーの「弦楽とアレグロ」。弦楽四重奏 + 弦楽合奏で、2つのオケの若手の方が中心となっての演奏だったのですが、特に素敵だったのはト短調からト長調に移調してからのアレグロの演奏。どこまでも快活で、適度に疾走感があって、聴いていてとても爽やか。まるで夏の田園の中を吹き抜けていく涼しい風のよう。若手の方が中心ということもあってか、とても瑞々しい印象を受けました。

そして「希望」として演奏されたのが、曲目変更として演奏されたチャイコフスキー 交響曲第5番 ホ短調。

急遽の曲目変更だったため、2つのオケが持っている元々のアーティキュレーションを短時間で取りまとめられるのか、どういう演奏になるのか、ちょっと心配していたのですが、完全に杞憂でしたね。

まず最初に印象に残ったのは、曲そのものが壮大でどこか荒々しい面が随所に見られる分、ダイナミックな演奏になるかと思いきや、とにかく良い意味での優しさと丁寧さに満ち溢れていたなというところ。

第1楽章は重々しくなりがちですが、ファゴットから始まる第一主題は手で包みたくなるくらいの優しさで始まっていて、こういう演奏の仕方もあるんだと思わず納得。第2楽章のホルンのソロが息を飲むような美しさで、それを下で支える弦の通奏、途中でわずかに転調する箇所があるのですが、そこがとても豊かで思わず天井を見上げてしまいそうに。いや本当にあの第2楽章は珠玉ものでした。第4楽章はともすれば大味になってしまいそうなところを、丁寧に丁寧に、それでも最終楽章ならではのダイナミクスが十分に発揮されていて、聴く耳を離さないというか、ハラハラ感が全くなく、あの楽章が持つ重厚さと幸福感を思う存分感じさせてくれました。そして「希望」というテーマをそのままに表現してくれたフィナーレ。金管があまりにも格好良すぎて、いやまたすごい演奏を聴いてしまった感満載。

演奏が終わった後は、ソーシャルディスタンスで観客の数を絞ったとは思えない拍手に加えて、ブラボーの代わりのスタンディングオベーション。きっと、あの場に居合わせた観客の皆さんが、演奏者の皆さんと一緒に、生で音楽を奏でることのできる「歓び」と、生で音楽を聴くことのできる「喜び」(敢えて「歓び」と「喜び」に分けました)を分かち合うことができたのではないかと思います。

東北を代表する2つのオーケストラが、新型コロナウィルス感染症対策と音楽活動のあり方の両立を考えていく中で、この演奏会はきっと大きな試金石になったと思いますし、それが大成功という形で大きな実を結ぶことができたのは確かだったと思います。移動にあたっては個人的にもだいぶピリピしていましたが、そんな中でもこのような素晴らしい演奏会に立ち会うことができたのは、本当に大きな喜びと、在宅勤務で思うようにことが進まないジレンマを抱えていた中で、久しぶりにすっきりとした気持ちを味わうことができました。

仙台フィルハーモニー管弦楽団、そして山形交響楽団の皆様の努力と工夫の結晶に、心から感謝と敬意を評したいと思います。本当に素晴らしい演奏をありがとうございました。

vlayusuke について

Violaを弾く。千葉県の東の端の方にある街のオーケストラで活動中。 好きな街は、Berlin、München、Wien、Barcelona、福岡、神戸、芦屋、金沢、横浜。
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