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2003-09-19 Nürnberg

昨夜はホテルに戻ってふと横になったとたんに爆睡モードに入ってしまったらしい。おかげですっきりとした目覚めである。相変わらずホテルはひっそりとしていて一体ここには宿泊者はどれくらいいるのだろうかと思わず首を傾げてしまいそうになる。その代わりと言ってはなんだけれども階段ホールの小ロビーのようなところでゆっくりとくつろぎながらタバコを吸うことだってできる。そう、部屋は禁煙なのだ。

いつものように2階の食堂へ。朝はそれほど多く食べない方で、生ハムを何枚かとチーズとシリアル、それからオレンジジュースとコーヒーがあれば充分。給仕のおばちゃんには「あなた痩せているんだからもっと食べないの?」と訊かれる。「いやこのくらいの量で充分なんだ」と返事をしたら肩をすくめられた。

城壁に囲まれたNürnbergの旧市街地は端から端まで歩いたとしてものの20分程度の距離である。ちょっとした散歩気分であっても十分に回れる程度の気軽さだ。そんなわけでカメラと旅行ガイド、それからドイツ語会話集だけを持って身軽に出かける。街のど真ん中を突っ切っていくルートは昨晩とその前の晩でだいたい歩き回っていることもあってかほとんど地図いらず。

Keiserburg城は普通イメージするところのお城とは全然違っていて、その姿はどちらかというと要塞に近いものがある。街から続く坂道をぐんぐんと登っていくのだが、登れば登るほどその勾配はきつくなり、最初の城門にたどり着く頃には軽く息が上がりかけている。普段が運動不足であるいい証拠だ。城門の前には校外学習なのか小学生やら中学生やらの集団がわんさか。そして結構好き勝手に城壁から見える市街地を眺めてわあわあ言っていたり、家から持ってきていたらしいリンゴを齧っていたりとにぎやか。そんな喧騒を横目に見つつ、まずは螺旋階段をもつ塔に登る。最上階から見る景色はやっぱり茶色いレンガの山々。絶対に日本では見られない景色だ。

この街はナチの第1回党大会が行われたという由縁からなのか、第二次世界大戦では旧市街地の実に90%が空襲によって破壊されているのだが、ドイツ人の職人根性とでも言うのだろうか、それらは戦後ほぼ完全な形で修復されて現在に至っているという。街の姿を大切にするというその姿勢には脱帽。

塔からの眺めを堪能した後は併設されている博物館へ向かう。展示されているのは14世紀から16世紀にかけての剣とか鉄砲とか鎧といった武器が中心。他には測量用の六分儀とか。鎧の類いなんかはにほんのそれとは全く違っていて、まさに金属製の縦を体中すっぽりと覆っているような感じで、こいつを身に付けて馬を乗り回すっていうのは着ている人も大変だけれども馬も大変だったんだろうなぁ、とのんきなことを思わず考えてしまう。外の子供たちの喧騒が嘘のようにひっそりとしていて、展示物をゆっくりと見てまわるのにはもってこいだ。

Keiserburgのあとは城壁ぞいに旧市街の外縁部を歩いていっておもちゃ博物館へと向かう。中世から現代にかけてのおもちゃを、時代を追って展示しているのだがそのコレクションが素晴らしい。特に目を見張ったのが、少女時代によく遊ぶようなミニチュアの家とかお飯事セット。現代ならばてっとりばやくプラスチックなぞ使うのだろうけれども、そんなものがない時代。磁気や金属やガラスを使って実に精巧に作られている。食器にいたってはきちんと絵付けまで施されているのだからすごい。すごいだけあってこんなものを使って遊ぶことができたのは、それこそ上流階級のご子息だったりしたのだろうけれども。

と、この辺りでお腹が空いてきたので再び駅の方へと戻り、ホテルのそばまでとやってくる。Königstraßeにはオープンエアで営業している飲食店がかなりあるのだが、どこにしようかと迷っていると、トルコ系のおじさん(顔がちょっとカダフィ大佐に似ている、以下カダフィおじさんとする)が出てきてうちで食べていかんかねとばかりに僕達を外の席に案内し、そして店内へ来いと手招きする。店先ではでかい肉がぐるぐると回っている。ドネルケパブというやつだ。ケパブは常々食べてみたいもののひとつだったので当然の如く注文。すると店員のおにいちゃんがドリルのようなものを持ち出してぐるぐるまわるでかい肉を削いでいく。ちょっと面白い。そして美味しい。カダフィおじさんはその間にもどこから来たのかとか、これはどんな料理だとかいろいろ話しかけてくる。なかなかいい人だった。

おなかが満たされたところで再び中心部へと歩きはじめて、St. Lolentz-Kircheへ。受胎告知のレリーフにみとれ、壁面にはめ込まれたステンドグラスに見入る。ステンドグラスが地面に作り出す模様はどうしてこんなに奇麗なんだろう?ここもまた外の喧噪とはかけ離れ、静かだけれども何故かあたたかな空気に包まれている。パイプオルガンが修復中なようで、入り口にはそのコンソールがどかんと置かれていた。こちらもディテールまでしげしげと眺めてみる。この教会もまた、大戦の空襲では無惨な姿になってしまったようで、絵葉書がそれを静かに物語っていた。

そして再びケパブのお店に戻り、カダフィおじさんに声をかけてトルコ風の紅茶を注文する。甘い飲み物は歩き疲れた体をゆっくりとほぐしてくれる。

夜のHauptmarktではお祭りが行われていて、屋台で買ったソーセージをほおばりながらステージのバンド演奏なんかを聴いていると、近くにいた夫婦がくるくるとダンスをはじめたりなんかする。こういう非日常って素敵だなぁと心から思った。