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■ Maurice Ravel :: "Bolero"

ラヴェル 「ボレロ」

□ 編成

Fl Ob Cl Fg Hr Trp Trb Tuba
3 2 2 3 4 3 3 1
Timp G.C Cyn Trg Vn Va Vc Cb
1 1 1  
Other
CFg : 1, Sax : 4, BCl : 1, EsCl : 1,KleineTrp : 1, Cel : 1
※PiccはFl3番持ち替え

□ 曲について

きっとこの曲は最も有名な管弦楽曲とされるなかでも片手のうちには必ず入るだろう。

モーリス=ラヴェル(1875〜1937)はもんの凄いオシャレなおじさんで、さらにいうならば潔癖性だったらしい。潔癖性だということは別にしても、とにかくオシャレという性格は、この曲にも十二分に表現されている。さて、この曲は同じ名前のバレエの為に書き下ろされたものなのだが、その粗筋とはスペインの酒場のとあるおねぇちゃんの魅力に、酔ったお客が次ぎから次へと魅せられてしまうというもの。その魅せられて行く様子を見事に曲で表現してしまったというわけである。

肝心の曲の方はというと、構造そのものは非常に単純で、スネアの刻むリズムにのって、様々な楽器が同じメロディをひたすら繋いで行くというもの。ではどうしてそんな単純な曲が名曲と呼ばれるようになったかというと、その秘密はオシャレな彼が綿密に計算したオーケストレーションの妙技にある。

暗闇の中からすっと現れるかのようにスネアがリズムを刻みはじめ、その上にフルートによる主題が静かに乗っていく。音量はもちろんピアノ。それがクラリネット、オーボエ、ファゴット、トランペット&チェレスタ・・・、と繋がって行くうちに曲は次第に盛り上がりを増してゆき、観客はまるでバレエの中の酔っぱらったお客のようにめくるめく、ソロの世界に引き込まれて行くというわけ。聞き逃していはいけないのはソロ以外の部分。ここにもラヴェルのこだわりはしっかりと生きている。スネアと同じようなリズムを刻んでいる楽器の組み合わせ(音の高低差とか)が実にうまく考えられている。そのあたりも聴くものを飽きさせないコツなのだろうか?

最終的には全合奏となってそのうねりはまるで燦々と輝くスペインの太陽を思わせる。そしてドラの爆音とともにまるでドリフの様な合いの手が入り、曲は突如として終わる。喜劇なんだかただのドタバタなんだか分からないけれども、ひたすら単純なフレーズの繰り返しであるのに、どうしてこんなにも惹かれてしまうのか。一説によると同じリズムの繰り返しというのは一種の催眠効果をもたらすらしい。

おそるべし、ラヴェル。

演奏時間 : 約15分