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■ Johann Sebastian Bach :: Fantasie g-dur BWV572

J.S.バッハ :: 幻想曲 ト長調 BWV572

□ 構成

第1部
第2部 Gayement
第3部 Lentement

□ 曲について

この曲に初めて出会ったのは2004年のドイツ - オーストリア旅行中、Eisenachにあるバッハの博物館を訪れた際に買い求めたSimon Prestonの演奏によるCDを聴いたのがきっかけだった。

それまでは楽器を弾いているとはいえ知っているのはオーケストラ向けに作品を書いている作曲家が中心で、J.S.バッハの作品といえば有名な「トッカータとフーガ(BWV565)」程度のものだったのだけれども、購入したCDを宿に戻って早速iTunesに取り込み、iPodへ転送してこの曲を聴いた瞬間に、そのめくるめく世界にすっかり引き込まれてしまった。数々のオルガニストによる演奏の中で一番印象に残ったのはカール・リヒターが1979年に東京のカテドラル聖マリア大聖堂で演奏した際のライブ録音。

この曲は3部の構成で成り立っていて、それぞれ「非常に速く」「厳かに」「ゆっくりと」と譜面上にフランス語で記されている。どうも「幻想曲」という表題は後に名付けられたようで、元々の表題としては"Pièce d'Orgue"となっている通り、フランス音楽の影響を強く受けているという。

第1部は12/8拍子の非常に速いパッセージで始まる。ころころと軽やかに転げ回る16部音符の流れは細かな上下を繰り替えす。それはまるで音符が何かの魔法にでもかかったかのように自由に飛び回るかのよう。やがて低音部で主題の変則を奏でたかと思うと徐々に高音部へと転回して、Fisの音を最後にその先を第二部へとゆだねる。

ペダルで演奏されるGの音をきっかけにして鍵盤でGの和音が奏でられると同時に第2部が幕を開ける。和音の渦だ。分厚いその渦は押し寄せてくるのではなく、天井から太陽が降り注ぐように聴き手の元に透過してくるような感覚。太陽の光は時たまその量が弱くなったり強くなったりを繰り返しながらも途切れる事なく降り注ぎ、後半部からは上昇する和音とともにどんどんとその強さを増していき、最高潮に達したところで一筋の光を残してぱっと舞台が暗転したかと思うと、直ぐに第3部へとなだれ込む

第3部はCisを起点として半音階で下降していくペダルの響きの上で、6連符のアルペジオがきらびやかに戯れていく。進行していくにつれてペダルの響きは単音なのだけれども重厚さと残響が増していき、別の空間の中を飛行しているかのような感覚すら出てくる。アルペジオはペダルの動きに連れて徐々に下降し、一瞬の余韻を残したかと思うとめくるめく速さで上昇し、最後に重厚なGを和音を響かせて幕を閉じる。

演奏時間 : 約8分